社長ブログ
ITで地域と企業を元気にする会社、株式会社フクールの福崎です。 役にたつ情報・・・・も少しはあるかもしれませんが(笑)、だいたいが他愛もない事だと思います! もし、良かったら読んでください。
他人と過去は変えられない
先月、約20年ぶりにライブハウスのステージに立って、ギターを弾いた。
四男がドラム教室に通っていて、その発表会でなぜか「お父さんと一緒にバンドしたい」と言い出して、実現した今回のライブ。
昔は、毎週のように立っていたステージなのに、なんだか照れ臭くて、落ち着かなかった。
あんなにも自信満々で立っていた昔が嘘のように、隅っこで密やかに遠慮しながらギターを弾く自分が滑稽だった。
練習をしっかり出来ていないって、怖いな〜と改めて思った笑。
けど、終わってみれば楽しかった。たった一曲の演奏だったけど、やっぱり音楽は良いなと思ったし、バンドが大好きだなと思った。
バンドをやっていた20代の頃はまさにギターばっかり触っていた。狭いアパートにいる時は、お風呂やトイレに入る時以外はずっとギターを抱えていたんじゃないかな?ご飯食べるときもギターを抱えて食べていたのを覚えている。
決して上手ではないけど、『自分の指を自由に動かして紡ぎ出される音の奇跡に出会う』・・・それが楽しかった。
仕事も一所懸命していた自負はあるけど、音楽のある生活を守るために頑張っていたんじゃないかと思う。音楽と共に生活をしていたようなものだった。
そんな生活が一転、富山に帰ってきて、父の会社に入社して、経営者の道を歩み始めた。
ここでは書ききれないくらいの苦悶の毎日だった。お金や人・・・、自分以外の何かに頭と心が占領されていたような日々。
正直、いろんなことを忘れてしまっているのか、30代中盤までの記憶があまりない。特に楽しい思い出がない。そんな毎日を過ごしていた過去があった。
先日、大好きな藤原正彦さんが書かれた「日本人の真価」という本を読んだ。
相変わらず日本人が大切にしたい考え方、特に美意識と武士道精神について、日常の中で感じられたことを独特の強さと、個性的なユーモアで描かれている文章に、再会を喜ぶ旧友のような感覚を覚えた。
その本の中でひときわ、色彩を帯びて私の心に入り込んだ言葉があった。
「これからが、これまでを決める」
藤原さんがあるお寺で出会った言葉だという。調べると、浄土真宗 真宗大谷派の名僧 藤原聡麿さんの言葉。
言葉に出会っってドキッとすることは時々ありますが、この言葉はすごく衝撃的。
それまでは、過去が今を作る。今が未来を作るという考え方が心の中に強くあった。
けど、これからの生き方次第で過去を輝かせることが出来るんだ。
その昔、経営者の勉強会で、ある先輩経営者から言われた言葉。「他人と過去は変えられない」。
本当によく聞く言葉。他人も過去も変えられるものではない、自分が未来を変えるんだというもの。
そうだと思う。そうだと思うけど、何か違和感があった。
私は経営者であり、父親。社員や子供たちは’’他人’’か?
彼らの未来のために、「変えてやらなきゃ!」と思うことはある。彼らのことが大切だから、絶対に変わってもらいたい、変えてやりたいと思うことはある。
むしろ、変えてやることが出来なくて、何が社長だ。何が父親だ。と思う。(もちろん、いい方向に変えるって意味)
そんなふうにずっと思っていたのだが、今回「過去も変えられる」と思うことが出来た。
過去、起きたことは変えられない。これは間違いない。私が音楽ばっかりやっていた事も、お金のことが頭から離れず苦しんでいた事も、社員や子供たちに無理をしいていた事も変えられない事実。
だけど、これらの持っている意味合いは変えられる。
あの一所懸命の時代が自分の心を表現する原点だったのだ。
あの苦悶した時期が、神様が与えてくれた失敗する時期だったんだ。
あの過去をただの失敗にしてしまうのも、大切な時間だったとするのも私の今だ。
私の今からだ。
「他人も過去も変えられない」
志が無かったら確かに変えられないだろう。けど、私は変えてみせる。
今を一所懸命生きて、周囲の皆んなも過去も輝かせていきたい。